さがしもの

日々思ったことを書いていきます。

正義感の無駄遣いの倹約方法

おはようございます。

ほそやんです。

 

私が好きなテレビ番組の一つに

「英雄たちの選択」という番組があります。

www.nhk.jp

歴史学者磯田道史さんが司会を務め、

歴史のターニングポイントにおいて

英雄たちにはどういう選択肢があって

そのどれを選んだかを考える番組です。

 

3人のゲストがそれぞれ自分たちなら

どういう理由でどの選択肢を選ぶかを発表し、

それに対して磯田道史さんがさわやかな笑顔で

身もふたもない正論を言うギャップの面白さが

ぼくがずっと見ている理由です。

 

ゲストの中でもお気に入りの人がいます。

脳科学者の中野信子さんです。

脳科学者らしい切り口でその英雄がどういう人であったか

この場合は脳科学の観点からはどうするのが正解であったか

歴史学者では思いつかない切り口で話されます。

 

きれいな人なのにぶっとんでるなぁと思ってましたが

この人は本当にぶっ飛んでるんだ、と決定的に思ったのが

「私、テレビに出るときはかつらをかぶってるんです。」

と黒髪の下から金髪が出てきたのを情熱大陸で見たときです。

普段は金髪で過ごし、テレビに出るときは防御装置として

黒髪のかつらをかぶっておられるそうです。

 

その中野信子さんの本で面白いものがあったのでご紹介。

人は、なぜ他人を許せないのか?

人は、なぜ他人を許せないのか?

 

今、コロナによる自粛警察の話題や

SNSでの誹謗中傷による自殺の話題が盛り上がってますが

こんな時にこそ読む価値のある本だと思います。

 

自分が正しいと思い込み、

正義感を持って人を攻撃してしまう仕組み、

そして「正義中毒」から解放される方法に

ついて書かれています。

ざっくりとみてみましょう。

 

他人に「正義の制裁」を加えると脳の快楽中枢が刺激され

快楽物質であるドーパミンが放出されます。

また、自分が絶対に正しいという思い込みから

異なる考えを持つ他人をバカと決めつけ攻撃を加えること

は人の本能として備わっているものです。

しかし、種としての健全な繁栄のためには

多少コストと感じたとしてもある程度の

多様性を担保しておかなければならない

こともまた事実としてあり、異なる意見を

封殺してしまうのはよくないことです。

 

特に、日本人が議論だと思っていることは対立する二つの

意見を吟味・検討してより良い結論を導くというものではなく

なぜかたいがい人格攻撃でおわってしまいます。

けなし合いと議論は全く違うものなのですが

正義中毒の人々は相手の主張のいいところを

取り入れるということがなかなかできません。

結局、正義が一つしかないという前提があるために

彼らの言葉は議論に昇華する余地を持たないのです。

 

そもそも人間の脳は誰かと対立することが自然であり

対立するようにできています。

また、人は自分の所属している集団以外を受け入れられず

ほかの集団を攻撃するようにできています。

そのために自分たちの正義にそぐわない人を正義を壊す「悪人」

としてたたく行為に快楽が生まれるようになっているのです。

 

そして人間はそれまでに見せてきた自分と矛盾しないように

ふるまわなければならないという根拠のない思い込みに

無意識に縛られています。

この現象を心理学では「一貫性の原理」と呼んでいます。

このネーミングの背景には

人間自身が本当は一貫していないという現実があるのです。

気を付けていないと人間は自身の一貫性について

あまりに強く縛られているために思考を柔軟に巡らすことが

できないという罠にはまってしまうこともあります。

 

誰しもが陥ってしまう「人を許せない」状態から

解放されるためにどうすればよいのかというと

まずは自分が正義中毒になってしまっているかどうかを

自分自身で把握できるようになることがとても重要です。

そして日常的に合理的思考、客観的思考ができるような

クセをつけておく、あるいはそうせざるを得ない状況に

身を置いておくと前頭前野は鍛えられ衰えを抑制し

客観的に物事を見ることがげきるようになると期待できます。

 

常に自分を客観的に見る習慣をつけ、メタ認知

メタ認知とは自分を客観的に見ることができる能力のこと)

働かせることが前頭前野を鍛えることにつながります。

まず前提として人を許せない自分や他者、相手をバカに

してしまう自分や他者の愚かさを人間なのだから

しょうがないと認めることです。

同時に正義中毒に陥らないように常に自分を

客観的に見る習慣をつけることです。

 

「どうでもいい」という感覚を身に着け

じぶんでも他人にも一貫性を求めること自体をやめ

ほどよい距離感を保つことが大事です。

人間は不完全なものであり結局永遠に完成しない

という意識が人間を正義中毒から解放する

のではないでしょうか?

 

人っていうのは本能的に自分と異なるものを攻撃する

ように仕組まれているので、自分の正義と異なる正義に

対しては攻撃をしがちで、さらに一度攻撃をすると攻撃し続ける

という縛りを自分に課してしまいがちです。

この人の性質を理解したうえで

自分が正義中毒に陥っているかも

と客観的に見ることができるような能力を磨き続け

ひとは不完全なものであると理解すれば、

この「正義中毒」という攻撃性を解消することができます。

 

ぼくは昔からこの本でいう「正義中毒」のことを

「正義感の無駄遣い」

と自分で名付けて呼んでいました。

そう名付けなければならないぐらいぼく自身が

「正義中毒」に陥りがちな傾向があります。

こうあるべき、こうするべき、と思いがちで

それを人に押し付けがちです。

 

そんなぼくには刺さる内容の本でした。

問題に対処するには原因究明と対策が必要です。

この二つを完璧に満たしてくれました。

 

正義感の無駄遣いをしてる人は

一読の価値がある本だと思います。

 

じゃ、また!!

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