長女ユダヤ二女キリスト三女イスラム三姉妹のお話
おはようございます。
ほそやんです。
ぼくが子供の頃はアメリカとソ連の冷戦真っ只中で、
いわゆる東側諸国っていうのは虫のように感情のない
冷たい悪い奴らだって教えられて育ってきました。
それが中学生ぐらいの頃に冷戦が終結し、
どこに対立軸があるのかよく分からない時代が
しばらく続きました。
この状態が続けば世界平和になるのかなぁと思ったら、
アメリカがイラクに攻め込み始めました。
ただこれは弱いものいじめの構図であって
対立軸があると言える状態ではありませんでした。
そのあと、大学の時に読まされた本が文明の衝突、という本でした。
- 作者:サミュエル・ハンチントン
- 発売日: 1998/06/26
- メディア: 単行本
冷戦時代は政治体制の衝突だったものが今後は文明同士で対立することになる、
つまり、ヨーロッパ文明とイスラム文明の衝突が今後は起こるという内容でした。
そんなわけないわーって当時のぼくは思ってました。
対立するにはあまりにも国力が違いすぎると思ったからです。
その数年後、社会人になった時、起こりました、文明の衝突。
911です。
イスラム原理主義者の人たちが飛行機をハイジャックして
アメリカの貿易センターに突入する映像は映画を見ているようで
現実とは思えませんでした。
国力の差なんて関係ないんだって思い知らされました。
小さな組織でもテロとゲリラで大きな国家と対立できることを
初めて理解することができました。
そのあとのイスラム国の誕生から拡大が発生し
衝突はますます大きくなり、読まされた本の先見性に驚くばかりでした。
恥ずかしい話なんですが、この当時のぼくは
まだユダヤ教とキリスト教とイスラム教の
正しい関係をわかっていませんでした。
なので先見性には驚きましたが、
いまいちなぜそこまで対立するのか
ピンとこない部分がたくさんありました。
ピンと来たのはこの本を読んでからです。
ユダヤ教VSキリスト教VSイスラム教―「宗教衝突」の深層 (だいわ文庫)
- 作者:真也, 一条
- メディア: 文庫
そしてなんで仏教やヒンズー教はこの対立の中に
はまりこまないのかようやく分かりました。
詳しい話は読んでもらえばいいのですが、
この本の前書きだけでも呼んでもらえれば
三者がなぜ拗れやすいのかわかって貰えると思います。
本書は、人類の歴史に大きな影響を与えてきた三人の姉妹の物語である。
長女はユダヤ教。二女はキリスト教。そして三女はイスラム教である。
同じ親、つまりは同じ一神教の神を信仰し、~略~
憎み合い、殺し合うようになった世にも奇妙な三人の姉妹。三人の娘はいずれも大の本好きだった。
特にお気に入りの旧約聖書の最初の五巻を三人とも愛読した。
ただし、長女はあくまでもその五巻しか読まなかったが、
二女と三女はそれぞれ別のお気に入りの本、新約聖書とコーランを持った。
長女と二女は黙読することが多かったが三女は必ず声に出して本を読んだ。三人の容貌はそれぞれ違っていた。
長女と三女は顔や習慣や雰囲気が似ていた。
ただ、小柄な長女に比べて三女は大柄に成長していった。
二女も大柄だった。そして、彼女は他の二人の姉妹と仲良くやっていくことが出来なかった。
長女や三女の姿を見るといつも言いがかりをつけて喧嘩を仕掛けた。
このたとえ話だけでもこの作者が三人の「姉妹」を
それぞれ愛情を持って見ておられ、
そしてよく理解されていることがよく分かるかと思います。
ちょっと二女がお嫌いなのかもしれませんが・・・
恥ずかしながらぼくは20代半ばまで
キリスト教とイスラム教(もちろんユダヤ教も)が
元々は同じ宗教であることを知りませんでした。
そんなぼくでもこの本を読んでイラク戦争がなんで起こったのか、
911が起こったのか、
もっと遡ると中東紛争や十字軍がなんで起こったのか、
ようやく理解することが出来ました。
今、世界は西洋文明とイスラム文明の衝突の時代から、
西洋文明と中華文明の対立の時代になろうとしています。
「文明の衝突」が書かれた時にはまだ貧弱だった中華文明が台頭し
文明の衝突セカンドステージの様相を呈してきています。
そんな時だからこそもう一度、西洋文明とイスラム文明の衝突がなぜ起こったのか、
その背景にあるものを思い返して見てもいいかと思います。
じゃ、また!!
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