さがしもの

日々思ったことを書いていきます。

「父が娘に語る経済の話」

おはようございます。

ほそやんです。

 

経済学ってなんかまやかしに見えません?

需要と供給のバランスで世の中の価格が

決定されるという大前提と

不景気なときは公共事業を大量投入して

景気を喚起するというケインズ理論ぐらい

まではなんとか理解できます。

 

そっから先は理論的にぎりぎり理解できても

机上の空論っぽくってしっくりこないです。

だって実証のしようがないですもの。

トマ・ピケティさんの資本の再分配の必要があるっていう

話だってそりゃそうだけどそんなんできんやんって

思ってしまいます。

 

普通の人が働いて稼げるお金より、

今資本(資産)を持っている人がその資産から稼ぐお金の

方が大きいので、格差は広がる一方である。

だから資本の再分配ができる仕組みをつくらないとだめだって

理解はできますよ、でも現実にはできないですよね。

それなら金持ち父さんのロバートキヨサキさんの話のほうが

よっぽどしっくりきます。

(機会があれば金持ち父さんも書きます)

 

そんな中で、ガチガチの経済の専門家がわかりやすく

経済の話をかいてくれたのがこの本です。

 

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

 

どれぐらいガチな人かというとイギリスやアメリカや

オーストラリアで経済学を教え現在はアテネ大学で経済学の教授を

されているというのが前置きで、さらにすごいのがギリシャ

通貨危機の時のギリシャ財務大臣だったという人です。

理論だけでなくガチガチの実務もやっていた人です。

 

そんな人が自分の娘にわかりやすいように簡単なたとえ話を

用いて経済ってこういうことだよって教えてくれます。

経済学の話としてはとよりないのかもしれませんが、

私のように経済学に疎くまた懐疑的にみている人間にとっては

非常に面白く読める本です。

 

オーストラリアにいる娘さんにギリシャから語り掛ける体裁なので

「なぜアボリジニーはイギリスを侵略しなかったのか?」

という刺激的なお話から入ります。

いい人かどうかとか、文化的な性格の問題だとかきれいごとではなく

経済という側面から答えを導き出してくれます。

イギリスは冬を乗り切るために「農耕」を生み出し、

農耕が「余剰」を生み出し、

「余剰」は「文字と債務と通貨と国家」を生み出し、

 それらによる経済から「テクノロジーと軍隊」が生まれた。

豊かなオーストラリアでは余剰を作る必要がない。

 

なんとなくわかっていたことかもしれませんが

ここまで明確に説明されると腹落ちします。

 

最後にこの本の中の面白いたとえ話を紹介します。

冷蔵庫メーカーの経営者が人を雇うかどうかについて考えていた。

人を雇えば冷蔵庫を月に5台多く作ることができるが

半面当然に給料その他もろもろの費用が発生する。

冷蔵庫を月に5台買いたいという余裕のある人が増えるかどうかで

採用するかどうかが決まる。

その時、こんなニュースをみた。

労働組合は雇用促進のため賃金2割カットを受け入れると宣言」

この時に経営者はどう思う?

①安く労働者が雇えるじゃないか、すぐに雇おう!

②労働者の給与が下がるってことは冷蔵庫を買う

 余裕のある人が減るので、増産する必要ないんじゃないか!

あなたならどっちの思考方法をされますか?

賢い経営者であればあるほど②になる、と本書は説きます。

 

集団全体が楽観的なら、現実も楽観的に、

集団全体が悲観的なら、現実も悲観的になると

本書は説きます。

 

まさしくギリシャ通貨危機の時のドイツへの当てこすりですね。

この部分に関しては国家や経済に限った話ではなく

組織論としても当てはまると思います。

これしちゃだめ、このままじゃこんなことになっちゃうって

悲観的な立場で檄を飛ばすより

これをしよう、ああいう風になろうっていう

楽観的な立場で檄を飛ばすほうが

より良い結果を生み出すと思います。

 

経済なんかよくわからないってあきらめている人、

経営者的立場で物事を考えてみたい人には

ぜひ読んでほしい一冊です。

 

じゃ、また!