「父が娘に語る経済の話」
おはようございます。
ほそやんです。
経済学ってなんかまやかしに見えません?
需要と供給のバランスで世の中の価格が
決定されるという大前提と
不景気なときは公共事業を大量投入して
景気を喚起するというケインズ理論ぐらい
まではなんとか理解できます。
そっから先は理論的にぎりぎり理解できても
机上の空論っぽくってしっくりこないです。
だって実証のしようがないですもの。
トマ・ピケティさんの資本の再分配の必要があるっていう
話だってそりゃそうだけどそんなんできんやんって
思ってしまいます。
普通の人が働いて稼げるお金より、
今資本(資産)を持っている人がその資産から稼ぐお金の
方が大きいので、格差は広がる一方である。
だから資本の再分配ができる仕組みをつくらないとだめだって
理解はできますよ、でも現実にはできないですよね。
それなら金持ち父さんのロバートキヨサキさんの話のほうが
よっぽどしっくりきます。
(機会があれば金持ち父さんも書きます)
そんな中で、ガチガチの経済の専門家がわかりやすく
経済の話をかいてくれたのがこの本です。
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
- 作者:ヤニス・バルファキス
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/03/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
どれぐらいガチな人かというとイギリスやアメリカや
オーストラリアで経済学を教え現在はアテネ大学で経済学の教授を
されているというのが前置きで、さらにすごいのがギリシャの
理論だけでなくガチガチの実務もやっていた人です。
そんな人が自分の娘にわかりやすいように簡単なたとえ話を
用いて経済ってこういうことだよって教えてくれます。
経済学の話としてはとよりないのかもしれませんが、
私のように経済学に疎くまた懐疑的にみている人間にとっては
非常に面白く読める本です。
オーストラリアにいる娘さんにギリシャから語り掛ける体裁なので
「なぜアボリジニーはイギリスを侵略しなかったのか?」
という刺激的なお話から入ります。
いい人かどうかとか、文化的な性格の問題だとかきれいごとではなく
経済という側面から答えを導き出してくれます。
イギリスは冬を乗り切るために「農耕」を生み出し、
農耕が「余剰」を生み出し、
「余剰」は「文字と債務と通貨と国家」を生み出し、
豊かなオーストラリアでは余剰を作る必要がない。
なんとなくわかっていたことかもしれませんが
ここまで明確に説明されると腹落ちします。
最後にこの本の中の面白いたとえ話を紹介します。
冷蔵庫メーカーの経営者が人を雇うかどうかについて考えていた。
人を雇えば冷蔵庫を月に5台多く作ることができるが
半面当然に給料その他もろもろの費用が発生する。
冷蔵庫を月に5台買いたいという余裕のある人が増えるかどうかで
採用するかどうかが決まる。
その時、こんなニュースをみた。
「労働組合は雇用促進のため賃金2割カットを受け入れると宣言」
この時に経営者はどう思う?
①安く労働者が雇えるじゃないか、すぐに雇おう!
②労働者の給与が下がるってことは冷蔵庫を買う
余裕のある人が減るので、増産する必要ないんじゃないか!
あなたならどっちの思考方法をされますか?
賢い経営者であればあるほど②になる、と本書は説きます。
集団全体が楽観的なら、現実も楽観的に、
集団全体が悲観的なら、現実も悲観的になると
本書は説きます。
この部分に関しては国家や経済に限った話ではなく
組織論としても当てはまると思います。
これしちゃだめ、このままじゃこんなことになっちゃうって
悲観的な立場で檄を飛ばすより
これをしよう、ああいう風になろうっていう
楽観的な立場で檄を飛ばすほうが
より良い結果を生み出すと思います。
経済なんかよくわからないってあきらめている人、
経営者的立場で物事を考えてみたい人には
ぜひ読んでほしい一冊です。
じゃ、また!