さがしもの

日々思ったことを書いていきます。

集団的狂気状態を笑うなかれ

おはようございます。

 ほそやんです。

 

いまこの漫画を読んでいます。

第1話「みらい出港」

第1話「みらい出港」

  • メディア: Prime Video
 

 かわぐちかいじさんらしい自衛隊ものです。

1隻のイージス艦第二次世界大戦中にタイムスリップ

したらどうなるのか?という内容です。

まだ途中なので読み切ったらちゃんと

紹介したいと思います。

 

これを読んでいて読み直したくなった本があります。

戦艦武蔵 (新潮文庫)

戦艦武蔵 (新潮文庫)

 

 戦艦武蔵はいかに作られ、いかに沈んだか

その歴史的意味はどこにあるのかを

問いかけるお話です。

 

昭和41年の本なので古い本です。

文体が堅苦しくて少し読みづらいですが

乾いた文章と登場人物に肩入れすることなく

淡々と事実を列記していく凄みを

感じることができればどんどん物語の中に

引き込まれていきます。

 

戦後まだ20年しかたっていない時期に

書かれた本なので存命の人への取材がされています。

戦後すぐでは話せなかったこと、時間がたちすぎて忘れたこと。

その二つのはざまの中で一番いい時期に取材をされたことで

生み出される事実の積み重ねも引き込まれる要因となります。

 

ジパング」も「戦艦武蔵」も両方とも

日本と戦争万歳なお話でもなく

日本を自虐的にだけ見るお話でもないです。

どちらの立場の人でもちゃんと読めるお話です。

ジパングは途中なので、今のところですが。)

 

戦前日本は巨大戦艦を作ることで戦争に勝とうとし

作り始めるときには巨大戦艦ではなく空母と飛行機の

時代に代わっていることに気づきながら、

世界一の戦艦を持つことでそれを精神的支柱と

する目的にすり替わってしまいました。

 

世界的規模の船を国家として胸を張って建造する第一歩が

建造するドックを隠すための棕櫚の買い占めという皮肉から

この本の話は始まります。

近代国家を誇りアジア圏に覇権を唱えようかという国が

国家威信をかけて始める事業の第一歩が

安物の一次産品の買占めというアンバランスさで

当時の日本を描き出しています。

 

司馬遼太郎が日用品を輸出するためにアジア大陸へ進出し

帝国主義をまい進した戦前日本をあざけり笑ったことと

共通する考え方です。

 

建造中の隠匿に必死になる姿、

大きな船に対する信仰にも似た信頼感に酔う姿、

時代遅れをしめすかのように航空機の攻撃で沈められる姿、

これを淡々と書き記すことで、

日本が狂気に包まれて集団自殺に向かうさまをあぶりだします。

 

これを戦後生まれの人間が馬鹿にするのは簡単です。

でも、危機に追い込まれたときに

目的と手段が逆転して、手段が目的となり

さらに一部の人間が先導する集団的狂気状態になり

はたから見れば自殺願望者にしかみえない

人や組織や社会って現代でもそんなに珍しくないです。

 

集団的狂気の中で動く人たちは

それぞれ必死で有能で献身的です。

その人だけを見ていると崇高です。

その先に待っているのがたとえ破滅でも。

 

じゃ、また!!

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