さがしもの

日々思ったことを書いていきます。

律義者の裏側

おはようございます。

ほそやんです。

 

5年ほど前に金沢に旅行にいきました。

町のいたるところに落ち着いた品を感じる街でした。

(なによりご飯がおいしかった!!)

その元を作ったのは加賀百万石の開祖である

前田利家だと思います。

 

北斗の拳の作者で知られる原哲夫の「花の慶次

を読んだ人にとっては前田利家

あまりいい印象のない武将かもしれません。

 前田慶次郎前田利家の兄の養子、

つまり義理の甥にあたります。

慶次郎のすごさを描くために

利家は優柔不断な俗物として

描かれてしまっています。

そういう側面もあったと思いますが

ただそれだけの人物だったとしたら

江戸時代最大の藩の開祖にはなれなかったはずです。

 

前田利家尾張土豪出身で若いころから信長の

親衛隊のような存在でした。

傾奇者、槍の又左、信長のお気に入りの小姓、

茶坊主を殺して追放されまた復帰した、

といったことから想像するに現代でいえば

金持ちの家のけんかっ早い腕っぷし自慢の

かっこいい不良みたいな感じだったのかなぁと思います。

若いころの信長自身が暴走族のリーダーみたいな

もんなので、そんなもんだと思います。

 

利家の最大の持ち味は槍働きでも政治能力でもなく

「律義者」と呼ばれる人から信用される能力でした。

人から信頼されるということに長けた人で

その能力だけで百万石を獲得し、かつ守り切った

と言っても過言ではないと思います。

 

信長晩年期、利家は柴田勝家をトップとする

北陸方面侵攻担当の有力武将の一人でした。

この状態で本能寺の変が起こり、秀吉が中央を制圧します。

これに反発した柴田勝家と秀吉の間に戦争が発生します。

北陸方面侵攻担当であった柴田勝家の配下であった

佐久間盛政や佐々成政などはそのまま配下となりますが

前田利家だけは戦線離脱という形で秀吉側につきます。

 

勝家は秀吉が大嫌いだったのでその配下の武将もある意味

洗脳されて秀吉のことが嫌いになっていったにもかかわらず

利家だけは秀吉を信頼していたというのはすごいことだと思います。

勝家からの信頼も得つつ秀吉も信頼できるってすごいと思います。

かつて仲良くしていた仲間であっても、いつも一緒にいる

信頼する上司が嫌いな人は嫌いになってしまいそうです。

ましてや上司の嫌いな人と仲良くしていたら、

上司の信頼を失ってしまっても不思議はありません。

これを両立したと言えばわかりやすいでしょうか。

 

利家が戦線離脱したことで秀吉の最大の敵である勝家を

滅ぼすことに成功し、その方面を利家に任せます。

これが加賀百万石のはじまりです。

秀吉は自分が亡き後豊臣家を家康から守るために

その対抗措置として利家に力を付けさせます。

結果として正直、その能力以上の力を持つこととなり

悪く描くと「花の慶次」の「利家」になってしまいます。

 

ただ、家康も含めて数々の武将や大名から信頼を得ていたことは

間違いないようで利家が存命のうちは豊臣家は安泰でした。

かつて勝家にやったことと同じことを豊臣家にも

今度は前田家としてまたやります。

そう、かつての上司を戦線離脱という形で裏切るのです。

利家の正妻を徳川家へ差し出すことと、利家の跡継ぎがあほなふりを

することで、豊臣家を援助しませんという態度をしめします。

結果、徳川家は豊臣家を滅ぼします。

 

豊臣家に近いと目される大名は軒並みつぶされたにも関わらず

前田家はつぶされるどころか削られることや移転させられることなく

江戸時代が終わるまで存在し続けます。

 

二度も上司を見捨てるという形で裏切りながら

律義者という印象を周りに持たせる能力こそ

利家が百万石の開祖となりそれを江戸末期まで

守り切った要因だと思います。

天然にちかいような熱血キャラと思われることもありますが

それだけならこんな卑劣な裏切りを2回もしないと思います。

(厳密にいえば2回目は利家自身ではないですが死後すぐ

なので利家の意思が介在したとぼくは思います。)

花の慶次」の前田利家ほどは醜悪な人物であった

とおもいませんが、あまり好きになれない武将です。

 

あなたの周りにもいませんか?

大した能力もないのに誰かにべったりと付くだけで

さも力があるように、さも信頼できるかのように見せかけ、

あげくにあっさりと人を見捨てるかのように裏切る人って。

 

徳川幕府ににらまれないことを必死に考えた結果

京都から近い位置にありながら幕末は眠ったまんまでした。

単に幕末は裏切る上司がなかっただけかもしれませんが。

 

じゃ、また!!

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