さがしもの

日々思ったことを書いていきます。

イボイノシシから考える威圧的な上司に対抗する方法とは?

おはようございます。

ほそやんです。

 

思春期の頃に大きな影響を受けた

本だったり作家さんだったりっていうのは

多くの人があると思います。

ぼくにとっては司馬遼太郎さんや海音寺潮五郎さん、

池波正太郎さんといっ方々が生み出した

歴史小説や随筆がそれにあたります。

 

あともう一人大きな影響を受けた人がいます。

筒井康隆さんです。

小説も面白いのですが、随筆が特に好きで

間違いなく自分の人格形成や思考方法に

大きな影響を受けています。

 

そんな中で私が一番好きな本を一冊。

 筒井康隆さんの父は天王寺動物園

勤められていたこともあり、

様々な生き物に対して親近感を子供のころから 

持たれていたことと、筒井康隆さんの

するどい人間観察能力が重なり合った

傑作と言えると思います。

 

表紙のイボイノシシを例にとると

イボイノシシは見た目は怖そうで

憎々しい顔をしていますが、

実際の性格は臆病で気が弱く

驚かせると簡単によたよたと

腰を抜かしてしまうそうです。

 

このイボイノシシの凶悪そうな顔は

虚勢や擬勢といわれるものであると

筒井康隆さんと考えます。

 

ここから人間観察へつなげていくのが

この本の醍醐味です。

 

「人間の心理学でいえばこれは

「補償」に似ている。

臆病さというものは長所としてみれば

想像力があって知能が高いということ

なのですが、本人が欠点と思い込むと

それは欠点となる。

この欠点を補おうと

わざと粗野にふるまったり

武芸を磨いたりし、

それすらできない人は

猛犬を買ったり

威圧的な態度や表情を身に着ける

「代償行為」移る。」

 

と解説した上でここから

筒井康隆さんらしい人間観察をからめた

論理の飛躍が始まります。

 

「社長とか重役(といった)立場の人が

臆病だったり気が弱かったりすると

なめられ(ないように)けんめいに

威圧的になろうと(する。)

金のかかった服装(をし)

たくさん食べてよく肥り

威圧的な体格に(なる。)

社長室でふんぞり返り、

満面に朱をそそいだ鬼のような顔で

相手を睨みつけ、最高級仕立ての

背広に包まれた巨体でもって威圧し

割れんばかりの大声で部下を

怒鳴りつけている人間は、

そういった局面にいること自体がすでに

腰を抜かす寸前と言えるのではないだろうか。

嘘と思ったら、いちど試してみればよろしい。

こういう人物に近づいていき、

耳もとで手をパチンと打ちならし、ワッと叫ぶのだ。

彼はたちまちさっと顔を白くし、

へたへたと腰の抜かして大きな椅子から落ち、

デスクの向こう側へ這いつくばり

がくがくと身をふるわせながら、

豪勢なカーペットを這うようにして、

前肢だけを手前の方へ折り曲げたまま、

よたよたと・・・。」

 

前半部分でイボイノシシを驚かしてみたら

びっくりして腰を抜かしたという話に

最後はしっかりと返ってくるという

仕組みの面白さはもちろんのこと、

こんな人間いるいるという抽出の仕方と

それを妄想でやっつけるカタルシス

組み合わせているので読むだけで

面白く、教養にもなり、すっきりもするという

いろんな効用のある文章です。

 

リズム感のある文章でサクサク読める

こんなお話が50個以上も入っています。

昭和55年発売の少し古い本ですが、

今読んでも全然古臭くなく読めます。

ぜひ一度読んでみてください。

 

じゃ、また!!

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